大阪市立東洋陶磁美術館(The Museum of Oriental Ceramics, Osaka = MOCO)は、およそ2年間のエントランスホール等の増築改修工事を終えて、令和6年(2024)4月12日(金)、リニューアルオープンいたしました。想定を超える多くのお客様にご来館賜ることができ、ホッといたすとともに身が引き締まる思いでもあります。
当館は、大阪に本社があった総合商社 安宅産業株式会社が収集した、中国陶磁・韓国陶磁を中核とした「安宅コレクション」を住友グループから寄贈されたことを記念して、大阪市が設立した美術館です。昭和57年(1982)11月に開館し、令和4年(2022) 開館40周年を迎えました。また、平成8年(1996)から3回にわたって、在日韓国人である李秉昌(イ・ビョンチャン)博士から、韓国陶磁などの作品群と韓国陶磁の研究基金に資する土地家屋をご寄贈・ご寄附賜りました。安宅・李秉昌の2大コレクションのほかにも、多くの方々から近現代の作品を含む様々な分野の陶磁作品やコレクションの寄贈を受け、一方で日本陶磁などの購入をすすめるなど、所蔵品の一層の充実を図っており、令和6年3月現在でその総数は5,732件(国宝2件、重要文化財13件、重要美術品9件)となりました。
今回李秉昌博士の作品群のご寄贈と土地家屋のご寄附から20年ほどが経過したところで土地を処分することとなり、韓国陶磁に関する研究費を確保した上で、その売却益と住友グループからの残余金を合わせて、エントランスの増築工事費に充当させていただくことになりました。新しいエントランスホールは、美術館の魅力向上を図ることを目的に、堅牢な雰囲気の建物イメージを多くの市民や利用者の皆様に親しまれて入館しやすいものとなるように改修し、明るい中之島公園との一体感や開放的な空間イメージを心掛けることといたしました。居心地のよさや展示環境が優れた美術館であり続けることが、長く美術館活動を維持継承していく大切な要素であると考えています。
当館はコロナのパンデミックを経て日常的な様々な課題と向き合いつつ、次の40年の美術館活動の中で、当館の新たな魅力と価値を作り出していかねばなりません。調査研究に基づく展覧会や美術教育などの地道な活動を通じて東洋陶磁の魅力をお伝えし、不断に努力しながら皆様の生活に感動と潤いをお届けできるよう取り組んで参りたいと考えています。
令和6年(2024)7月
大阪市立東洋陶磁美術館
館長 守屋雅史